前回の記事に引き続き、
最近の症例をすごく簡単にご紹介いたします。
CASE2.
ヘモプラズマ症(旧:ヘモバルトネラ症)
別名:猫伝染性貧血
<病原体>
・Mycoplasma haemofelis (病原性が高い)
・Candidatus Mycoplasma turicensis (病原性が低い)
・Candidatus Mycoplasma haemominutum (病原性が低い)
<感染経路>
ダニなどのベクターによる吸血、感染猫とのケンカによる咬傷、
母子感染、感染血液の輸血などさまざま。
<症状>
病原体が赤血球の表面に寄生することで、
赤血球が破壊されて貧血等の症状を引き起こす病気。
重度の場合は死に至ることもあり。
<治療>
抗生剤、ステロイド剤、輸血、酸素供給等。
以下、症例です。
ネコ、避妊♀、4歳、屋外飼育、FIV/FeLVともに陰性。
ぐったりしているとの主訴で来院。
一般身体検査では、可視粘膜は蒼白、CRT延長、元気消失、
呼吸促拍等が認められました。
血液検査では、貧血所見(再生像あり)、血小板減少、
肝酵素の軽度上昇、黄疸(TBIL 2.0)等が判明し、
エコー検査やレントゲン検査では、軽度の肝腫大、脾腫も確認。
更に、検査を進めていくと、
顕微鏡下にて赤血球の表面にヘモプラズマを確認。
治療前の血液塗抹。赤血球の表面に寄生するヘモプラズマ。
※画像が悪く実際よりもかなり色が滲んだように表示されています 😥
もちろん最近は、感度の高い遺伝子検査が主流になりつつありますが、
これは診断までにかなり時間を必要とします。
しかし、一刻を争う事態なので、すぐに入院していただき、
点滴をしながらヘモプラズマに対する治療を開始することになりました。
今回の症例のネコちゃんは、
抗生剤、ステロイド剤がすぐに効き、元気・食欲等もすぐに回復。
( 私の掌からフードをガツガツ食べる姿にとても癒されました★ )
貧血や血小板減少、溶血・黄疸といった症状は急速に改善され、
自宅での内服薬投与による管理が十分可能となったので
数日間の入院で済みました 🙂
しかし、ひどい場合は、輸血等も必要になったり、
放っておくと死に至るような病気です。
また、まれに再発もあるような病気なので、
継続的な治療や血液検査等の経過観察が必要となります。
みなさんも、ネコちゃんの様子がおかしいなと少しでも思ったら、
すぐに当院までお気軽にご相談下さいませ。 (*^^*)